ゴムのポイント

ゴムの値動きの特徴

天然ゴムの産地はタイ、インドネシア、マレーシアですがこれら3カ国の生産量は世界の総生産量のおよそ7割を占めており、その生産動向がポイントになってきます。同時に、天然ゴム需要は石油から生産される合成ゴムとの間で行き来する傾向があるため、石油価格の高騰は合成ゴム価格の上昇を招き、最終的には天然ゴムの需要増加及び価格上昇につながることになります。

一方の需要面に関しては自動車用のタイヤ、チューブを始めホース、ゴム手袋にいたるまで幅広く使用されていますが、特に注目されているのは需要のおよそ8割を占める自動車用需要です。近年経済成長の著しい中国からの需要拡大が天然ゴム消費量の増加を促していますが、中でも価格が下落したところで買いを入れる中国の業者の動きが天然ゴム価格をサポートする要因となっています。

ゴム需給統計

ファンダメンタル情報について

情報の種類 変動要因
気象状況 通常、タイの主要ゴム産地において、ゴム樹の生育が進む雨季を迎える11月〜1月が年間で最大の生産期となります。この時期、雨量が多すぎるとタッピング(樹液の採取)が行えなくなる場合もあるため産地の雨量が問題となります。
一方、2月〜4月はゴムの樹の落葉期=ウィンタリングにあたり樹液の出が悪くなり、タッピングを一時中止するため、生産が著しく低下します。そのため減産期入り/明け時に異常気象に見舞われた場合には、生産が遅れたり早まったりする可能性が高まり、相場が乱高下する傾向があります。
現物市場 タイでは、農務省の現物市場である、タイ・各地区セントラルマーケットで値決めがされており、毎日の原料落札価格は日本の相場に影響を与えております。また、マレーシア、シンガポール市場での売買価格も参考とされています。
生ゴム営業倉庫在庫 実際の需給動向を表します。日本ゴム協会が発表しており適正水準に対しての増減が市場価格に影響を及ぼします。
自動車
生産台数
天然ゴムの消費はその8割が自動車用タイヤ・チューブに占められています。そのため各国の自動車産業の動向が注目要因となります。特に自動車のモデルチェンジが行われるx9月〜111月は需要が拡大する傾向があります。近年は欧米諸国の自動車生産台数に加え、中国の自動車生産動向も大きな変動要因となっています。
原油相場 ゴムには天然ゴムのほかに、石油価格産品である合成ゴムもあります。合成ゴムは天然ゴムの供給が断たれた米国が開発したもので、天然ゴム価格が上昇すれば需要は合成ゴムに、合成ゴム価格が上昇すれば天然ゴム需要が増加する傾向があります。そのため、合成ゴムの原料である原油価格の上昇は天然ゴム需要を高める要因になると考えられ、その動向には注意が必要となってきます。
為替相場 日本は世界最大の生産国であるタイから需要の70%に当たる量の天然ゴムを輸入しています。天然ゴムの円建価格は、タイオファーとドル円相場の兼ね合いで決定されるため、円安になれば円建価格は上昇、円高になれば円建価格は下落することになります。さらに、円安は日本に輸出産業の主幹たる自動車産業にとっては有利である一方、円高は逆風となるため為替相場にも注意が必要です。なお、1997年のアジア通貨危機は主要アジア通貨の変動相場制への移行を促したことから、天然ゴムの輸出価格は現地通貨の対ドル変動相場の影響をもろに受けるようになっています。