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COLUMN先物コラム

低迷する白金市場の波乱要因となりそうな南アフリカ情勢

更新日:2017/03/30

 NY白金市場では頭の重い足取りが続いています。現地2月27日の取引では一時、1,047.80ドルに達する動きを見せていたものの、翌日に反落した後は一気に下値を探る展開に転じ、940ドル割れに対しては強い抵抗を見せて反発に転じましたが、それでも同3月16日以降は980ドルが重石になるなかでの推移が続いているのです。

 この動きは、同様に現地2月27日の取引において1,264.90ドルと1,260ドル超えを達成した直後に下値追いに転じながらも、3月14日~15日にかけて開催された連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げが決定後には切り返す動きを見せている金市場とは対照的です。

 ちなみに、NY金は追加利上げが決定される現地3月15日までは1,200ドルを前後する動きを見せていましたが、その後、上値追いとなった結果、急落前の水準となる1,260ドル前後まで値位置を戻しています。

【白金は金市場の動きに追随する】
 そもそもNY金と白金は、NY金市場の動きに白金市場が追随するなど、高い連動性を持って推移していました。

 連動性の強さを図る相関係数の2016年初からの1か月毎の推移を見てみると、2016年1月は0.90、2月は0.61、3月は0.80、4月は0.97、5月は0.32、6月は0.32、7月は0.23、8月は0.86、9月は0.62、10月は0.66、11月は0.96、12月は0.67となっています。

 時折、相関関係の低い月も見られます。しかしながら、相関係数は低下した後に再び大幅に上昇して高い相関性を見せています。つまり、2016年を通して金市場の動きを受けて白金市場もこれに追随するという足取りを演じてきた様子が窺われるのです。

 2017年を迎えてからもこの連動性が大きく崩れることは無く、毎月の相関係数は1月が0.6、2月が0.82、3月が0.62と、高いとはいえなくても相関関係が認められるほどの連動性は保ってきました。

 しかしながら、FOMCでの追加利上げ決定後の現地緒3月16日~3月28日間の動きに絞って相関関係を見てみると、0.067となっています。この間に関してはほとんど相関関係の認められない、つまり金市場と白金市場とは全く異なる動きを示しているのです。

 金価格と白金価格の連動性が大幅に低下した期間は、米国でオバマケアの代替案の採決が中止されたことで、期待されていた税制改革への着手遅れに対する警戒感が強まるなかトランプ政権に対する不安感が高まった時期に当たります。

 この時期、株式市場ではリスク回避の動きが活発化して軟調な動きが見られる一方、金市場では逃避買い需要が高まり、これが価格を押し上げる一因となっていました。

【南アの政情が白金独自の要因に】
 金に比べるとその重要度は低いとはいえ、白金にも安全な投資先としての役割を果たす一面があります。そのため、逃避買い需要の高まりが金価格を押し上げる要因となっていた場合には、白金価格が上昇してもおかしくはありません。

 しかしながら、この傾向に反して白金価格が低迷場面を演じていたのは、白金独自の要因が背景にあると考えられます。その最大の理由として挙げられるのが、白金の主要生産国である南アフリカの政情でしょう。

 南アフリカでは、ゴーダン財務相が中心となって行われている財政改革に対する期待感が高まり、これが南アフリカの通貨であるランドを買い支える要因になってきました。

 しかしながら、これまでに2009年~14年までの間財務省を務めながらも退任したゴーダン氏が再び財務省に返り咲いたのも、対外的な措置であり、何度も辞任を求める声が挙がっているズマ大統領とゴーダン財務相との関係はもともと相思相愛という状態ではありませんでした。

 そのような状況下にあった両者の関係が、1週間にわたるロードショー(機関投資家向け説明会)を行うためにロンドンに向かっていたゴーダン財務相をズマ大統領が呼び戻したことにより、いよいよ亀裂に向かうとの見方が強まっているのです。

 実際、複数のメディアはアフリカ民族会議(ANC)の幹部に対し、ズマ大統領がゴーダン財務相解任の意向を明らかにした、と伝えています。

 国内で何度も辞任を求める声が挙がっているズマ大統領に対しては市場の信用も薄く、ゴーダン財務相解任の意向を示したと伝えられた後に南アフリカの通貨ランドは急落しています。

 南アフリカの通貨が下落したことにより、ドル建てでの白金価格も上値を抑制されることになると見込まれ、これが白金価格の重石になっていると考えられるのです。南アフリカ情勢の見通しに対する不透明感が強まるようであれば、白金価格はランド安を見越した売りに上値を抑制されることが見込まれます。

 また、南アフリカの混乱が長引くようであれば、同国からの白金供給縮小に対する警戒感が強まり、これが価格をサポートする要因になってくる可能性もあります。しかしながら、白金供給の場合、地上在庫の存在が鉱山生産量の不足分を補う供給先として存在感を強めています。

 特に2011年以降は、リサイクル供給の量が年間で200万オンスを超える年が増えてきており、縮小する鉱山生産を補うには十分の量が確保されています。

 そのため、南アフリカの混乱が長引けば供給縮小に対する警戒感が強まり上値波乱なる可能性が高まるとはいえ、それも一時的なものにとどまると予想されるのです。

 南アフリカ情勢が一段落すれば、白金市場も落ち着きを取り戻し、金市場に追随する動きを再開させることになるでしょう。しかしながら、南アフリカ情勢の混乱は、同国の金融資産の価値下落をイヤ気した売りを呼び、これが国際市場における白金価格の上値を抑制する要因になってくる一方、情勢が悪化した状態が長引けば、供給不安を先取りする動きが上値波乱を招くリスクを抱えている点に注意が必要となっています。

執筆者:平山 順氏(ひらやま・じゅん)

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

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