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COLUMN先物コラム

シカゴコーンはどこまで下がるのか

更新日:2017/08/31

 シカゴ市場ではコーンの軟調な足取りが続いており、中心限月の12月限は6日連続して一代の安値を更新しています。

 現地29日には12月限は348.75セントで取引を終えました。先限つなぎ足で見た場合、終値が350セントを割り込むのは、昨年12月以来のこととなります。

 6月後半から7月半ばにかけての高温熱波を背景としたイールド低下懸念を受けて370セント以上での推移が続いていたシカゴコーンが大きく値を崩すきっかけとなったのが、現地8月10日に発表された米農務省(USDA)による需給報告でした。

 事前予想を上回る169.5Buで、前月予測の170.7Buをわずかに下回る程度にとどまったうえ、生産量も141億5300万ブッシェルと過去3番目の豊作になる見通しとなっています。

 この豊作見通しを受けて急落した後も、ジリジリと値位置を切り下げる展開が続いていましたが、その追い打ちをかけたのがクロップツア―の結果でした。

 クロップツア―はプロ・ファーマーによって実施されますが、実際に産地に赴いて調査が行われるため、実際の生産量に最も近い状況が把握できるとして生産量を予測するうえで注目が集まります。今年は8月21~24日にかけて実施されて、25日に最終的なリポートが発表されました。

 その報告の内容は、コーンの生産量予測の平均値は139億5300万Bu(138億1300万~140億9300万Bu)、平均イールドは167.1Bu(165.4Bu~168.8Bu)といずれも米農務省(USDA)の8月発表分の需給報告における予測を下回るものとなりました。

 しかしながら、それでも過去第3位の生産量が示現されるとの見方には変わりはなく、クロップツア―の報告はUSDAの豊作見通しを裏付ける根拠になったと言えます。

 このような豊作見通しに加え、収穫開始の時期となる9月が着々と近づき現物供給量の大幅な拡大が見込まれることで、シカゴコーンは低迷場面を強いられているのです。

 とはいえ、低迷場面が続くなかでも強材料が全く見当たらないわけではありません。まずその一つとして挙げられるのが需要の増加です。

 物価と需要の一般的な関係として、物価が上昇すれば需要は減少する一方、価格が下落すれば需要が増加する傾向があります。

 シカゴコーン市場において中心限月が一代の安値を更新し続けるなか、メキシコ、中国を仕向け先とした大型成約が今週に入ってから3件伝えられています。中国は世界第2位、メキシコは世界第3位の主要消費国です。これらの主要消費国が価格が低下した機会を狙って需要を手当てしに来ている様子が見られるのです。

 なお、USDAによると8月17日時点における17~18年度の輸出純成約高は前年同時期の105万9874トンに対し、42万3322トンにとどまっています。このような差が生じている理由の一つとして挙げられるのが、価格差と南米諸国の生育状況でしょう。

 昨年は生育初期時点より良好な作柄状況が続き早い段階から大豊作が見込まれていました。そのため、コーン価格は8月下旬には314.75セントを下回るなど、現時点を下回る水準での推移が続いていたのです。
 
 さらに南米では干ばつの影響で後播種コーンの生産量が大きく落ち込み、これが米国産への需要増加を促した結果、100万トンを超える輸出純成約高の達成に繋がったと考えられます。

 今年に関しては南米諸国からの輸出圧力は前年度よりも強まっていると考えられるものの、価格がさらに下落するようであれば輸入国からの需要が増加し、これが価格をサポートする要因になってくることが見込まれます。

 また、春コーンの生育期を迎えつつあるアルゼンチンでは洪水が発生していることで作付が遅れる可能性が高まっており、同国での天候状況次第では米国の輸出用コーン需要増加観測が強まり、価格を押し上げる一因になってきそうです。

 ちなみに、ブエノスアイレス州 およびラパンパ州農牧連合会(CARBAP)によると、同地域では最大で25%もの農作地が洪水などの影響を受けており、春コーンの作付面積は前年度比で5%~10%拡大という予想を達成できない可能性が高まっています。

 この洪水懸念が和らいだとしても、南米諸国はこれから天候相場期を迎えるため、現段階での天候状況だけでなく今後もアルゼンチン、南米の天候リスクが意識されることになり、安易には売れない状態が続くことが価格をサポートすることになるでしょう。

 さらに、豊作の結果、需給の緩みが進むようであれば来春の米国の作付面積は需給引き締めのための縮小に動く可能性もあります。

 今年の米国のコーン生産量は6月後半から7月半ばとコーン生育にとって最も重要な時期に高温熱波に見舞われたにも変わらず豊作になる可能性が高まっています。それだけに目先は上値を抑制される足取りが続くことになりそうですが、価格の低迷が需要の増加を促す傾向があり、実際にその動きが見られること、アルゼンチンの洪水、さらには来週の作付面積縮小の可能性、といった強気材料に対する意識も強まりつつあるとみられます。

 予想外の需給緩和だけに価格の上昇は難しいと考えられるものの、同時に価格低迷時ならではの強材料が浮上していることもあって、これ以上の下落余地は乏しく、今後は上昇圧力が強まるなかでの底意の強い足取りを演じることになりそうです。

執筆者:平山 順氏(ひらやま・じゅん)

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

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